“仮面”は内側の本質をその外側に見せない、または異なる本質を演じるための装置である。人同士の距離 ( ディスタンス ) の関係が急激に変化している社会の中で、住環境と都市・自然との距離もまた見直される。都市から一定の距離を取るための装置 ( 壁 ) による頑丈な防御は繰り返し行われてきたが、ここでは選択的意思による視線を放ち続ける “眼孔” を もつ装置 ( 仮面 ) を計画した。
父と子世帯である息子家族のための長屋形式の二世帯住宅である。1 階に父が住み、2・3階を息子家族が使用する。敷地の前面道路は交通量の多い幹線道路で24時間車の往来があり、直に接しながら平穏に暮らすのは難しいと思われた。我々は建物を道路の反対側に寄せて道路からの距離をとり、その間に鉄製のフィンに囲まれた緩衝体を計画した。自立した厚みのある鉄製フレームに嵌め込まれたフィンは、日射を調整 する為のものではなく、前面道路の騒音や振動、人々の視線と対峙する。フィンの角度と間隔を層ごとに調整し、都市に向かっては閉じ、空や太陽に向かってはオープンに開放させている。都市と対峙する強面の仮面に囲われた外部空間は、選択された自然 ( 太陽、風や空 ) に近づく優しい空間となっている。
用途 | 専用住居(長屋形式) |
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所在地 | 東京都練馬区 |
主体構造 | 鉄骨造 |
敷地面積 | 175.52㎡ |
建築面積 | 96.70㎡ |
延床面積 | 151.94㎡ |
設計期間 | 2018.02-2019.02 |
施工期間 | 2019.03-2020.03 |
共同設計 | 熊原真二/株式会社フリークラウド |
構造設計 | 桑子亮/桑子建築設計事務所 |
施工会社 | 山庄建設株式会社 |
写真 | 淺川敏/ZOOM |
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