重層するBAR　／飲食店／内装｜ SangoDesign

重層するBAR　／飲食店／内装
神田の外れにひっそりと佇む小さなバーを設計した。提供されるお酒は長い時を重ね熟成されたオールドボトルの洋酒である。そこで私たちは” 時間” が生み出す価値を空間に表現したいと考えた。伝統に裏打ちされた形式と、さまざまな古材や質感を伴ったマテリアルの使用、細部にこだわった納まりの追求。その空間に置かれる家具・什器や照明、装飾品など目に入るすべてに一貫した哲学を持たせる。人間の持つ五感を重層的にマリアージュさせ、ゆっくりとした時間が積み重なる空間が完成したと思う。

このお店は表と裏の両方が通りに面している。それに合わせふたつの出入口、2種類のBAR ROOMを計画した。表通りに面したメインエントランスは、内外の境界を下げ豊かな外部アプローチ空間をつくった。裏通り側は、街に隠れるように小さな窓と小さな扉で別世界感を静かに演出している。室内のふたつのBAR ROOMをつなぐ扉は、ボトル棚にそっと隠されている。

表通りのエントランス

BAR ROOMへ至るアプローチ

BAR ROOM1

BAR ROOM2への隠し扉

BAR ROOM2

裏通りのエントランス

内装で使われる素材には新材の使用を最小限に抑え、その多くに時を重ねた古材を使った。古材は、マスターと一緒に新木場の材木屋さんを廻ってひとつひとつ選定していった。 ※

漆喰壁の左官や木部の塗装などの内装仕上工事は、敢えて職人さんに頼まず自主施工とした。マスターを中心に友人や僕たち、また多くの学生有志が集まり、納得がいくまでじっくり時間をかけて質感や細部にこだわった。 ※